2011年06月08日

別れ

私の所属する施設は小規模多機能型居宅介護事業所と言い、特別養護老人ホームやグループホームのようにそこに住むのではなく、通所・宿泊・訪問介護を複合的に行い在宅での生活をサポートする為のものだ。

先週、当施設を利用されていた利用者様が退所をされた。

彼女は今まで独居だったのだが、東北に住む娘さん夫婦がこれ以上一人暮らしをさせておくのは心配なので引き取って同居する事になったからだ。

生まれた時からずっとこの町に住み、ご主人の亡くなった後もそのまま一人暮らしをされていた。

最近になって身体機能も低下し認知症も進み、当施設で通所・訪問・泊りでサービスを提供させていただいていた。

いつも笑顔で若い時の事を話され私たち職員を和ませてくれていた。

利用者様の多くはどちらかと言うとネガティブな思考の方が多く「長生きしても何も良い事が無い」「年寄は行き場が無くて寂しい」などと仰る方が多い中、彼女はいつも明るく「早く元気になってもう一花咲かせてからお父さんの所に行くんだ」「あ~気持ちが良い」「ご飯が美味しいね~」など何かにつけポジティブな発想の方だった。

しかし地元にはもう殆ど身寄りも無く遠く離れて暮らす娘さんにとってはとても心配だったようだ。

認知症も進み、早い時は直前の会話も覚えていないし1日前の事など全く覚えては居ない。

そんな中でも毎日顔を合わす私たちスタッフの事は覚えて頂き、楽しく過ごされていた。
別れの日は早朝出発だったので夜勤の入りのスタッフや休みのスタッフまで駆けつけてお見送りをさせて頂いた。

別れの朝、彼女はいつもと同じ笑顔で「せっかく良い所で親切な皆さんにお世話になれたのに残念だね」と話され出発していかれた。

実の娘さんと一緒に暮らせる事はここで過ごすよりずっと良いに決まっていると思う。

恐らく出発した翌日には私たちと過ごした事も忘れているのだろう。

でもきっと一緒に過ごした事は忘れても楽しかった気持ちは残っているだろう。

希望的観測かもしれないが、そうあって欲しい。

認知症高齢者のケアはまさにその一瞬一瞬が一期一会だと思う。

だからこそ、その時できるより良いケアをして行きたいと心から感じた。
posted by hiro at 23:39| 北海道 🌁| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする